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夢を見ました。昔の夢。小6の時に家出した時の夢です。もう二度としたくないけど、本当に良い思い出なのかなと思います。まあそのせいでその後10年ほど腰痛やら異様に発達した大腿筋及びハムストリングスに悩まされる訳ですが。このご時世私だけの体験です。宝物です。
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    「はぁ?!勝手にすれば?!」


    その言葉を聞いたか聞いてないかくらいで、僕は玄関の扉を力一杯閉めた。大きな音をたてて威嚇するのは、乱暴な父から受け継いだ忌むべき癖である。


    バッグには10万円入った茶封筒、いくつかのパインアメ、父の部屋にあった十徳ナイフだけだった。衣服は薄手のポロシャツと値の張るジーパン、おばさんに買って貰ったエア・ジョーダンのバッシュだ。


    この軽装備と愛車『カミカゼ』で、僕は京都を目指した。


    幼き日の父が言った。


    「1号線を辿れば京都まで行ける」


    その言葉を信じていたとかそういう大それたことは無い。ただ、覚えていた。それだけである。


    早く遠くへ行きたかった。


    カミカゼに跨った時刻は4時を回ったくらいだった。


    その日は向こうの街の公園で夏祭りの二日目が行われる日だった。


    1日目は行った。少年野球をしていた僕は夏休みの遊び相手に困ることはなかったものの、やはり同じ面子だとなかなか飽きてくる。それ以外のクラスの友達と会うため、近所の夏祭りは皆勤だった。


    その時も、1日目でクラスの好きな子(と仲のいい子)に会えて、二日目の今日、近くの墓場まで肝試しをする約束をしていた。


    まぁそんなことは全く覚えていなかったわけだけれども。


    その日も少年野球の練習が終わったあと、軽くシャワーを浴びてそこに行く予定だった。


    親が最初に僕が家出したことに気付いたのはこのタイミングだった。


    「稲葉が来ない」


    夏祭りを楽しんでいた友人達が、弟のお守りのためにその公園に来ていた父親に告げ口した。


    その時刻5:30。


    その頃、僕は藤沢からスタートし、ママチャ…カミカゼで平塚の当たりまで進んでいた。通りで神輿が居て、その横に太鼓たたきをたくさん載せたトラックが居た。それなりに疲れていた僕は感動することはなかった。


    これから、日が沈んでまた登るまでは正気でいられた。


    時を知る道具を持っていなかったので、時間を知るのは大抵休憩に立ち寄ったコンビニか、交番だった。


    平坦な道が続いていたところ、いきなり地味な坂が続くようになってきた。耐えかねて自転…カミカゼから降り、近くの交番を覗き込むと時刻は7:30。鮮明に覚えている。


    そこいらに示される地名が変わってきた。


    「箱根」


    来てしまった。箱根。


    山だよ山。どうすんだよ。


    しかしあんな啖呵を切っ…た訳では無いが意思表示をしたあと、ノコノコと帰るのも癪に障る。


    齢12の稲葉は箱根を越えることにした。空は暗くなり始めていた。


    さすがは温泉街、硫黄臭い。そしてあっちらこっちらに旅館やらホテルやらがたくさんある。僕は何度も負けそうになった。僕の手元には10万円あるのだ。その気になれば泊まれる。いやむしろこのままそこで住み込みで働かせてもらうのもありじゃないか。


    阿呆の極みである。さすが学もなければお家も良くない稲葉少年。考えが浅薄で話にならない。


    結局泊まらなかった。留まることさえしなかった。


    一心不乱で坂道と格闘していると、どっと疲れが押し寄せてきた。堪らずカミカゼから降りる。この時の稲葉少年は低血糖だった。貧血故である。ファミリーマートを見つけて、取り敢えずカロリーを、ということで、ちみっこいクッキーがいっぱい入ったヤツを買った。ついでにデュエマも2パック買ったがカスしかでなかった。


    旅館街も抜け、もう本格的に山道に入ってきた。広い間隔である街灯が、僕の努力指数になっていた。灯りが照らさない場所は完全な闇だった。ただこの時の稲葉少年は全く気にしていなかった。後日見たら怖かった。


    そうして夜も更け進んでいくと大きな看板に出会う。


    「国道一号線最高標高地点」


    その時おそらく僕はカミカゼを漕ぎながら声に出して叫んでいたと思う。言葉とはとても言えないような喜びを表していた。


    これ以降はずっとくだりだ。良かった。


    そんなことは無かった。所謂最高地点は最高地点であったが、1号線が尾根に沿っていたので上がって下ってを繰り返すような道になっていった。


    それでも随分楽だった。常に上り坂に晒され続けた僕にとってそこはアトラクションのようなものだった。


    その時である。


    後方で「パキッ」と乾いた音が鳴った。なぜなのか分からない。耳に入った。自分が思っていたよりもずっと無音だったことに気付いたのはこの時だった。


    振り向くと何もいなかった。標高と時間のこともあり、そこそこ肌寒い思いをしていた僕にとって、怖くはなかったのだろうか。覚えてはいない。


    いや、なにかゴミのようなものが動いている、道路の真ん中で。僕はそれに一歩、また一歩と近づいた。


    近くにいくとその正体がわかった。


    ミヤマクワガタだった。


    小さい頃ムシキングボーイだった僕はすぐに分かった。


    弧を描く大きな顎と体表に金色の毛が生えている。しかもその大きさは約12センチほどであった。ミヤマクワガタの平均的な大きさは7センチほどである。規格外の大きさだった。


    僕はそいつをつまみ上げ、バッグの小さいポケットに入れた。中にはパインアメをひとつ開けていれた。昆虫ゼリーなんて持ち合わせていなかったから、せめてもの食糧である。甘いしパインだし食べると思った。


    仲間が増えた。心強かった。


    そうして山を抜けると、街灯が消えた。暗闇だったが、眼前には夜景が見えた。静岡県だった。


    それはそうとみなさん!!!


    この度、私、稲葉は中央大学第二演劇研究会の卒業公演『光朝』に出演させて頂くことになりました!

    もしお時間ありましたら、観にきてくださると嬉しいです!

    というかほんとにお願いしますマジで。


    ご予約(稲葉扱い)はこちらから


    ☞http://ticket.corich.jp/apply/89337/007/


    中大二劇卒業公演「光朝」@中野ウエストエンド



    3月10日(土)19:00

    3月11日(日)13:00/17:00


    前売り1000円

    当日券1200円


    過去公演割引、Twitter割引もございます!


    ご連絡は以下のものから!

    メールアドレス/awr17837@gmail.com



    to be continue…?


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